BaaS導入事例

決済単価126% ─「DLsite」が“みんなの銀行決済”ではじめる顧客還元と事業成長

株式viviON BaaS導入インタビュー

株式会社viviON 事業推進部 ユーザー価値チーム 決済・IDユニット シニアマネージャー 武本 泰伸 氏

導入目的・抱えていた課題 アイコン 導入目的・抱えていた課題

  1. お客様にとって使いやすく、安心して使える決済手段を増やしたい
  2. 決済まわりのコスト構造を見直し、生まれた余力をお客様へ還元したい
  3. それによってお客様の利用を活性化し、事業の成長につなげたい

導入の決め手 アイコン 導入の決め手

  1. 中間事業者を介さないA2A決済という即時性が高いかつ合理的なコスト構造
  2. API連携による開発・実装の容易さ
  3. 自社サービスの世界観と一致する、優れたUI/UX

BaaS活用後の効果 アイコン BaaS活用後の効果

  1. 決済あたりの平均単価が126%に向上。コアなお客様の利用が増えつつある
  2. リアルタイム決済で、残高があれば承認率は実質100%。機会損失が起きない
  3. 不正利用・チャージバックは現時点で0件
  4. 決済に関するお客様からの問い合わせもほぼゼロ

目次

決済は「コスト」ではなく「お客様と向き合う接点」─ viviONの決済思想

武本氏

viviONでは、子会社にてクリエイターとユーザーをつなぐ二次元コンテンツの総合プラットフォーム「DLsite」を運営しています。私自身は新卒から決済業界に身を置き、キャリアのほとんどを決済関連の業務に費やしてきました。
決済は、お客様の動向が最もよく分かる指標です。施策の結果がダイレクトに数字に現れ、お客様の多様な嗜好がデータとして可視化される。そこにこの仕事の面白さがあります。だからこそ私たちは、決済を単なる「お金を受け取る手段」とは捉えていません。決済は、お客様と私たちが向き合う“接点”そのものです。ここでの体験が良ければお客様は気持ちよく次の購入に向かい、悪ければそこで離れてしまう。決済体験の質は、お客様と長く良い関係を築けるかどうかに直結します。
一方で、デジタルコンテンツ業界には、決済手数料が利益を圧迫しやすいという構造的な課題があります。また、お客様の層が多様化するなかで、従来の決済手段だけでは最高の体験を提供しきれない場面も増えていました。クリエイターとお客様の双方により多くの価値を還元するには、「決済体験の向上」と「コスト構造の見直し」を同時に進める必要がある。この2つは切り離せない経営課題だと認識していました。

case-section-0 写真

銀行が「お客様の体験」を変える ─ A2A決済という発見

武本氏

そうした課題意識を持っていた時に出会ったのが、みんなの銀行のBaaSを活用したA2A決済※1です。

case-section-1 写真

※1 A2A(Account to Account)決済:お客様のみんなの銀行口座から、BaaS提携企業様のみんなの銀行口座へAPIで直接資金を移動させる決済方式。

導入の決め手は、決済コスト削減分をお客様へ還元するアイデアです。
みんなの銀行決済(A2A決済)は、お客様のみんなの銀行口座から、BaaS提携先のみんなの銀行口座へ直接資金を移動させる。構造的にコストを下げられる為、決済手数料を低く提供できる。決済手数料を削減した分をお客様に還元する事でロイヤリティを高められる。——みんなの銀行からそう説明を受けたとき、これは単なるコスト削減ではなく、お客様に価値を届けるための原資なのだと思えました。
導入のしやすさも大きな決め手でした。私はこれまで、銀行と直接接続する口座振替の難しさをよく分かっていたつもりです。過去に検討した際は、初期費用で数千万円、開発期間も最短9ヶ月。全銀システムの仕様を1つひとつ詰めていく必要がありました。それが、みんなの銀行のAPIを使えば直接接続が驚くほど簡単に実現できる。正直、これは衝撃でした。実際、社内で協議を始めてから実装完了まで、わずか3〜4ヶ月。エンジニアでない私が見ても、お客様がカートに商品を入れて購入する流れのどこに組み込めばいいかがすぐにイメージできる。それくらい、わかりやすい仕様でした。

case-section-1 写真

そして、UI/UXです。正直に言うと、最初にみんなの銀行のサービスに触れたときは、その作り込みに驚きました。デジタルネイティブな若い世代に、本当によく馴染む。DLsiteには、何か夢中になれるものを持ったお客様がたくさんいらっしゃいます。そういうお客様が、目的を持ってお金を貯め、好きな作品につかう——みんなの銀行の世界観なら、その体験が自然に思い描けました。私たちは「ユーザーとクリエイターが楽しみながら、幸せに生きていける社会にする」ことをパーパスに掲げ、お客様やクリエイターと30年かけてサービスを育ててきました。決済もまた、単なる取引の手段ではなく、その歩みの延長にあるものであってほしい。だからこそ、これ以上ない相手だと感じました。
単なる決済手段の追加ではなく「決済体験」そのものを向上させる戦略的な一手であること。その判断のもと、社内での合意形成はスムーズに進み、導入が決まりました。

case-section-1 写真

削減分を還元へ ─ 決済単価126%が示す、ロイヤルユーザーとの好循環の“予兆”

武本氏

決済手段の多様化は、社内でも優先的に取り組むべき課題の1つでした。開発はみんなの銀行側の手厚いサポートを受け、短期間で実装まで到達しました。Slackでの同期的な対応をはじめ、レスポンスやアドバイスの1つひとつまで、これまでの経験と比べてもかなり寄り添った対応をしていただいたと感じています。
私たちがこだわったのは、コスト構造の見直しを「自社のコスト削減」で終わらせないことです。生まれた余力をお客様に還元すれば、お客様はその価値を実感し、より積極的に使ってくださる。お客様の満足と事業の成長は、対立しません。むしろ、お客様に還元して長く愛用していただくことこそが、結果的に事業の収益につながっていく。そう考えています。みんなの銀行決済で常時2%のポイント還元を実施しているのも、利用促進への投資という位置づけです。

case-section-2 写真

※ 上記は期間限定のキャンペーンであり、現在は終了している可能性があります。

この取り組みは、お客様に「自分たちにメリットのある選択肢だ」と受け止めていただけたと感じています。リリース直後からSNS上では好意的な反応が数多く見られました。こうした反応の背景には、DLsiteとお客様との距離の近さがあると感じています。DLsiteは、同人文化と地続きの場です。お客様もクリエイターも、ともにこの場をつくり上げてきた——その感覚が、30年の歴史のなかで根づいています。だからこそ、私たちが新しい決済に挑む意図も、お客様はまっすぐに受け止めてくださいました。これほど近い距離でお客様と向き合えるサービスは、そう多くないと思っています。
そして、まだ断定はできないものの、好循環の“予兆”と呼べる動きも出てきています。
1決済あたりの平均単価が、他の決済手段と比べて126%の水準(平均の約1.26倍)という結果が出ています。現時点でLTV(顧客生涯価値)への影響を語るのは時期尚早ですが、この傾向について私たちは、みんなの銀行決済を好んで使ってくださっているのは、ふだんからDLsiteをよくご利用いただいているお客様ではないかと見ています。利便性に加え、ポイント還元も含めて「これなら長く使っていい」と判断してくださった結果だと考えています。実際に、とても多くの作品を購入されているお客様にご利用いただいている実感があります。
裏付けとなる安心材料もあります。リアルタイムで決済が完了するA2A決済は、残高があれば承認率が実質100%です。クレジットカードや後払い決済と比較しても遜色ない即時性を持っています。不正利用やチャージバックも現時点で0件。本人確認に基づくA2A決済は、仕組み上そうしたトラブルが起きにくいのです。さらに、導入当初に想定した口座開設に関する問い合わせも半年でほぼゼロになり、私たちが自信を持っておすすめできる決済手段になっています。

case-section-2 写真

「決済単価が上がった」という事実そのものよりも、コストを還元に変え、コアなお客様に気持ちよく使い続けてもらう“構造”ができつつあること。それが、この導入の本質的な成果だと考えています。

決済も、振込も、口座も ─ BaaSで広がるクリエイター支援の可能性

武本氏

みんなの銀行のBaaSがもたらす可能性は、決済だけにとどまらないと考えています。
その1つが、振込APIの活用です。仕様の詳細はこれから詰めていく段階ですが、まずはクリエイターへの送金に活用したうえで、他の用途についても検討を進めたいと考えています。
そして、口座そのものの提供にも可能性を感じています。みんなの銀行は法人口座の提供を始めており、個人事業主向けの口座についても今後の展開が見込まれます。これにより、DLsiteのクリエイターに対して、決済の枠を超えた新たな価値を届けられるかもしれません。DLsiteのクリエイターには個人事業主の方も多く、たとえば屋号で口座を作れるような仕組みがあれば、報酬の受け取りなどの面で心強い基盤になり得ると思っています。こうした新たなお取り組みも、ぜひ一緒に提案していけたらと考えています。
私たちの使命は、クリエイターが創作活動に専念できる環境を創ることです。決済で生まれた余力をお客様とクリエイターに還元し、その先で、口座のような形でクリエイターの活動を支えていく。BaaSには、そうした広がりの可能性があると感じています。
「決済手段を1つ増やす」ことから始まった取り組みですが、その先にはまだ開拓できる余地がたくさんあると考えています。みんなの銀行とは引き続きパートナーとして、クリエイターエコノミーの発展に貢献していきたいと考えています。

株式会社viviON

  • エンタメ
  • パートナー支店モデル
  • API提供モデル

「ユーザーとクリエイターが楽しみながら、幸せに生きていける社会にする」というパーパスのもと、子会社にて二次元コンテンツの総合ダウンロードストア「DLsite」を運営する、株式会社ゲオホールディングスのグループ企業。電子書籍やASMR、ゲームなど多岐にわたる事業を展開し、コンテンツの制作から販売までを一貫してサポートすることで、クリエイターが“好き”を仕事にできる世界を目指している。

viviONの公式サイトはこちら

BaaS導入にご興味がある方は
ぜひお気軽にご相談ください。

関連導入事例

CONTACT

ご相談やご質問など、どんな些細なことでもお気軽にご連絡ください。