【DONUTS】ライブ配信サービスにおけるBaaS活用の取組み
2025.2.19
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2025年2月19日開催の第3回“みんなのBaaS”セミナーにて講演いただきました、株式会社DONUTSとのセッションのレポートをお届けします。
本セッションでは、現在構想中のライブ配信サービスへ提供予定のBaaSを活用したサービスのご紹介やBaaS活用を進めている事業者としての期待感、非金融事業者としての取組みに対する感想などをお話しをいただきました。
セミナーアーカイブを公開しておりますので、そちらも併せてご覧ください。
こんな企業の方におすすめ
- 非金融サービスでのBaaS活用の方法を検討したい
- 銀行口座連携(A2A決済)によるチャージ機能やパートナー支店を活用したい
- 自社からユーザーや他社への振込を、金銭的・事務的に効率化したい
プロフィール
目次
オープニング:ご挨拶
DONUTS社の鈴木 宏之氏(以下、鈴木氏)に、同社と同社が提供するライブ配信サービス「ミクチャ」についてお話しいただきました。
鈴木氏
DONUTSは創業から18年のIT企業で、勤怠管理のジョブカンや医療カルテなどの法人向けサービスを自社開発していたり、ソーシャルゲームを制作したり、SNSのようなタイプの事業もしたりと、さまざまなドメインでのビジネスを行っています。
今日はそのなかで、私たちが提供している「ミクチャ」というサービスにBaaSを組込むというお話しをさせていただきます。
ミクチャは映像を使ったSNSのようなサービスで、ユーザーはスマホ一台で歌や演奏などの自己表現ができます。
そして、そのユーザーを応援したい方はギフティングアイテム(課金アイテム)を送って、応援の気持ちを届けられる機能がついているので、表現者とファンをつなぐきっかけづくりを提供しています。

ミクチャについてご説明いただく鈴木氏
みんなの銀行とDONUTSの取組みの経緯
続けて、ミクチャが抱えている課題について鈴木氏にお話しいただきました。
鈴木氏
私たちミクチャのサービスはSNS系ではあるもの、ファンの方にギフティングアイテムをアプリやブラウザ上で購入いただき、それを受け取った表現者の方に報酬を渡すというお金の流れが発生しています。
しかし、自分たちだけでお金の流れを作るというのはなかなか難しいと感じながらサービスを運営していたときに、みんなの銀行からの提案をいただきました。
上原
みんなの銀行とDONUTSは2024年10月に「金融を活用した価値共創にかかる基本合意書」を締結し、現在サービスのリリースに向けて検討をしている段階ですが、本セミナーではまだ公表していない、より具体的な構想についてもお話ししても良いと許可をいただきましたので、もう少し踏み込んでご説明します。
基本合意の中身として、3つのBaaS機能の検討を進めている段階です。
1つ目はパートナー支店※です。
表現者の方とファンの方が愛着を持って使える銀行機能を提供するため、ミクチャの世界観に合わせたデザインと、お得なプログラムを備えたパートナー支店を企画しています。
2つ目は口座振替のAPIです。
みんなの銀行口座とミクチャのアカウントが連携することで、シームレスかつ既存のクレジットカードなどの決済手段より低コストな口座直結型のA2A決済を構想しており、削減されたコストの一部をユーザーへ還元しようという企画もしております。
3つ目は振込APIです。
これはミクチャにおける課題であった、表現者への報酬支払いを解決する方法でして、煩雑な振込業務をAPIを活用することで効率化し、さらに報酬を受取るライバーの体験としても報酬の即時受取や手数料の低減なども期待できる取組みを検討しています。
- ※ 2025年3月17日にみんなの銀行「ミクチャ支店」を開設いたしました。

みんなの銀行とDONUTSの取組みの構想について(図1)
みんなのBaaSへの期待感
初回面談からディスカッションが盛り上がったという両社ですが、鈴木氏になぜみんなの銀行を選んで基本合意を締結したのかをお伺いしました。
鈴木氏
みんなの銀行とは未来に関して詳細に話せたという点が、一番大きな意思決定の判断となりました。
「ミクチャ」としては、お金を売り上げるところとお金を振込むところがあるものの、BaaSについてあまり詳しくなかったので、金融機関と連携することになると思ってもいませんでした。
今では、「振込APIは神だな!」と思っていますし、お金の流れをスムーズにできる点以外にも、マーケティング面で銀行口座を持っている人が推し活をしやすくなる特典設計などへの可能性も感じられ、ぜひ連携したいと考えていました。
パートナー支店で世界観を表現
パートナー支店のデザインは、各提携先サービスの世界観に合わせて1つ1つ検討をしています。銀行の一支店のデザインを考えるという滅多にない機会ですが、検討の過程と発見についてお話しいただきました。
上原
パートナー支店のデザインを決める際は、まずはヒアリングシートへご回答をお願いしていて、それをもとにみんなの銀行でデザイナーが具体化していく内製での作業をしています。
サービスの公式キャラクターや、コンセプトなどをデザインに落とし込んでいく過程は、私はすごく楽しかったのですが、鈴木さまはどのように感じられましたか?
鈴木氏
自分たちのサービスをイラストに落とし込むというのはなかなかない経験でしたし、最初は「夢かなう場所」というようなふわっとした感じでしたが、最後にスマホから虹、つまり夢がでてくるというような、世界観を表したデザインとなってよかったと思いました。
上原
デザインにもこだわりのあるミクチャ支店ではありますが、サービスリリース時には、表現者の方とファンの方にお得にサービスを利用いただけるような支店としたいと考えていますので、ご期待ください。

パートナー支店による「ミクチャ」の世界観を実現した金融サービスについて(図2)
三方良しなAPIの利活用
口座振替APIについては、独自決済の導入によってミクチャ・ユーザー・みんなの銀行の三方良しの仕組みを実現できるように検討中とのことですが、それぞれどのようなメリットがあるか伺いました。
上原
ミクチャにとっては他の決済手段よりも安価な決済手段を手に入れることができるという点が、ユーザーにとってはコンビニ払いや銀行振込の代替としてよりシームレスでお得な決済手段が使えるようになる点がメリットになると考えています。
みんなの銀行もアクティブに銀行口座を使っていただけるように、マーケティング施策などを実施しながらこの仕組みづくりに関わっていきます。
また、パートナー支店の仕組みを活用することによって、ユーザーへの還元はミクチャで使えるコインで実施し、サービス中で好循環ができるようにしています。
最後に振込APIについては、表現者の資金ニーズに対して体験向上ができると考えています。
従来であれば決済代行を利用して実施していた報酬の振込を、振込APIで置き換えることによって、例えばユーザーが報酬の入金申請をした際に、短時間かつ低コストの自動化された振込が実施できるようになります。
さらに報酬の受取口座がみんなの銀行口座であれば、より早くより安く、報酬受取ができるようになります。
鈴木氏
まず口座振替APIですが、モノを買うときに一番良い手段というのは、口座から口座に直接お金を移動させることなのだと、今回の提携にあたって思いました。
コスト、そして時間的にも一番優れた手段だと思っていますし、私たちと同じくモバイルアプリとブラウザ両方でサービスを提供している事業者は、みんな取り組んだ方がいいと感じるほどです。
エンタメ系のサービスということもあり、スタッフも金融には明るくないということはあるかもしれませんが、この決済によって他のマーケティングプランで使う原資を作ることもできますので、良いAPIを提供いただけたと考えています。
上原
加えて、パートナー支店と口座振替APIを活用することによって、ユーザーの金融行動データが見えてくるようになると考えられますね。

口座振替API連携による独自決済の導入について(図3)
鈴木氏
振込APIについても、ユーザーにお金の支払いがあるサービスの事業者は、マストで入れた方がいいと思っています。
「ミクチャ」では、配信をする人が月間数万人いるので、月末は「スプレッドシートで鬼の報酬計算」をしていて、毎月「もうやばいやばい」ですし、計算ミスも起きないようにしながらの作業になります。
そうすると、報酬は翌々月の10日にお渡しするというところまでしか、振込スピードをあげられませんでした。
振込APIがあれば、報酬計算も人の手を介在せず、すぐに報酬を受取ることができるようになるので、ライブ配信を始めてみようという方にも活動した分を即日で受け取れますという訴求、つまり自分が生み出した価値の対価をすぐに受け取ってもらうこともできるようになると考えています。
これはクラウドソーシングであったりライブ配信であったりのサービスにはとてもおすすめできると感じています。
DONUTSではB2Bのサービスも提供しており、例えば勤怠管理のジョブカンへ振込APIを組み込めば、ジョブカンを導入している企業で勤務している人は即時で経費精算を受けられる仕組みも作れるのではないかと考えています。

振込API連携によるライバー体験の向上について(図4)
まとめ
株式会社DONUTSとのセッションでは、以下についてお話しいただきました。
- BaaSを活用することで提供可能となるサービス事例
- みんなのBaaS導入にあたっての体験設計
- ユーザー別のニーズを叶える柔軟なBaaS API活用
また、本セッションの最後には、BaaSを活用することで実現を期待するマーケティングの姿や、質疑応答にもご対応いただきました。
ぜひアーカイブ配信にて、ご確認ください。

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